歯の豆知識

こどもの約30%がお口ぽかん

2021年1⽉、新潟大他の共同研究で日本人の子どもの約30%がお口ぽかんで、その割合は年齢とともに増加していることが分かりました。その研究は2014年、全国の小児歯科開業医会の会員医院を受診した3才~12才までの約4000人のお子さんが対象で、お口ぽかんは自然治癒せずに年齢とともに増加して12才では約40%のお子さんに見られるというものでした。

お口ぽかんグラフ

お口ぽかんは「唇にしまりがない」「口を開けて寝る」、「上唇と下唇の間から歯が見えている」「口を閉めて食べられない」「音を立てて食べる」などの症状と関連していて、お口ぽかんのお子さんは口呼吸があり、口回り・舌の筋肉の動きが弱く、食べる・話すというお口の機能が十分に発達していないことがわかります。そしてそれは成長期にあるお子さんの顎や顔の発育・歯ならびに大きく影響しているのです。アレルギーや扁桃腺肥大の問題がある場合は医科の受診をお勧めいたします。そのような問題がなくてもお口の機能が育っていない(口腔機能発達不全症の)お子さんが多いのが現状です。

【お口の機能発達:胎生期】
お口の機能発達不全への対応はどの年齢でも可能ではありますが低年齢であればあるほどその後の成長は良好なものとなります。全身の発育発達に伴って発達するお口の機能ですが、その基礎は胎生期に作られます。胎生28W頃に生理的屈曲である『も』の字姿勢が強くなると口唇を楽に閉じ羊水の飲みこみできるようになります。哺乳のための機能が発達し、手が顔周りにあるとそれに向けて顔を動かし指しゃぶりをする様子が見られます。この口回りの動きが機能発達の基礎となるのですが、それには胎児が豊富に動ける子宮内環境が大切です。良好な子宮環境・産前産後の母体を守るために日頃から抗重力筋と言われる体を支える筋肉を鍛えて骨盤ケアを心がけたいものです。

良好姿勢
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6回日本助産学会
豊富な動きが保証
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豊富な運きが保証されない
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ウイルス予防のために

ウイルス予防のために

お口の健康は、大切です!

お口の健康!

歯科への受診を控え、痛みや腫れなどを放置すると重症化だけでなく全身の健康へも影響します。歯周病は歯周病菌が血液を介して全身を巡り、糖尿病の悪化や脳梗塞、心筋梗塞、がんなど様々な病気の誘因になります。お口の衛生状態の低下は誤嚥性肺炎に繋がったり、新型コロナウイルスなどの感染症が重篤化したりする可能性があります。

歯科医院では以前から感染症予防対策のために手洗いの徹底とマスク、ゴーグルの着用、また治療器具は患者さんごとに交換、滅菌、消毒を行っております。さらに新型コロナウイルス感染症が拡大してからは、定期的な換気と患者さんの間隔確保、従業員の健康管理など飛沫感染や接触感染が起こらないような対策を日々行っています。

歯科治療に不要不急はありません。自己判断で受診を控えずかかりつけの歯科医院での治療と定期的な健診を受けていただくことをお勧めいたします。

※但し次のような症状をお持ちの方は受診をお控えください。
37.5℃以上の発熱がある、強い倦怠感や筋肉痛・関節痛がある、鼻水・のど痛など風邪症状が続いている、咳・呼吸困難・胸痛などの呼吸器症状がある、突発的な味覚・嗅覚の異常がある。

矯正相談や、治療を受けた方が良い目安

歯科医に相談する患者

Q:矯正治療とはなんですか?

矯正歯科治療は、歯並びと咬み合わせの改善を目的に治療を行います。それは顎や顔を構成する骨格が調和のとれている状態で、口腔機能の改善と向上を伴うことを前提としています。その結果として、審美的な歯並びや口元、顔貌になることが良質な矯正歯科治療に求められるものです。

Q:どのようなかみ合わせの時に相談に行けば良いですか?

日常生活において物を食べたり、噛んだりする際に支障をきたしていると考えられる場合や、歯並びが悪い、口元が出ているなど、歯に起因する顔の美醜を感じる場合にお越しください。具体的には、

  • 歯並びがデコボコで、歯が重なっていたり、間に隙間がある場合
  • 口もとがひどく出ていたり、引っ込んでいる場合
  • 上の前歯が前に出ている場合
  • かみ合わせが反対で下の前歯が前に出ている場合
  • 上の歯がすべて下の歯を覆ってい無い場合
  • あごが著しく横に曲がっている場合
  • 奥歯でかんだときに前歯でかみきれない場合
  • 前歯がひどく伸びだしている場合
  • 部分的に食物が歯の間に停滞したり、はさまる時

などです。

Q:最初に矯正歯科に相談するの何歳くらいが良いですか?

気になり始めた時に、気軽に矯正歯科へお越しください。

口腔内の状態は一人ひとり違うため、一概に「開始は何歳から」と断定することはできませんが、成長期のお子さんであれば「あごが成長段階にある幼児期から矯正歯科医が定期的に観察していくこと」をお勧めしますがなぜなら、歯並びや咬み合わせの問題は、歯の土台となるあごの形や大きさと切り離せないからです。

矯正歯科治療は成長期から開始する「早期治療」と「本格治療」に分けられます。本格治療はいつからでも始められるのですが、まずは、矯正歯科にご相談を。一般的には小学校入学頃に一度矯正相談を受けると良いかもしれません。成長期の治療は7〜8歳頃に開始することが多いですが、あごの骨格に問題のある受け口や開咬(かいこう)、交叉(こうさ)咬合といった不正咬合は、早めに治療したほうがよい場合もあるため、早めに受診を行い、治療開始時期は矯正歯科医に見極めてもらうことをお勧めします。

Q:どこで相談を受ければ良いですか?

矯正歯科治療を行う上で必要な検査や診断が可能な機器や設備が整っており、専門の機関で教育・研修を受けた矯正医、歯科衛生士、スタッフがいる病院をお勧めします。

マウスピース(アライナー)矯正について

歯科矯正治療のゴールは何でしょうか? 歯並びの凸凹がなくなる。出た歯が引っ込む。引っ込んだ歯が出る。など歯並びを治すことだけでしょうか?

歯は上あごと下あごの骨に植ってます。また、あごの関節を動かし食べ物を咬みます。歯並びや歯列の形を整えることだけでなく、それがあごの動きに合っているかが、すごく大事です。

歯並びは良くなったけれど、その人の咬み合わせにあっておらず、あごの関節にも負担がかかる状態は様々な問題が出ます。歯の後戻り、あごの関節の問題、歯がだめになる等です。

マウスピースを持つ女性

そのため治療前に歯並びだけでなく、上あごと下あごの骨格的状態やあごの関節の状態を把握し、治療後に形と動きをマッチする状態にすることを心がけます。しかし、歯の配列が悪いまま終了したり、歯や歯並びだけに目を向け、上と下のあごがかみ合う位置や関節の位置や動きを考えていない事例も昔から多くあり、残念です。

マウスピース(アライナー)矯正は、ふつうの装置を入れる矯正以上に、その落とし穴にはまる可能性を持っていると思います。

矯正の専門の先生がふつうの装置を使って治す場合でも、歯をきちんと並べたり、形と動きをマッチさせることは、苦労をすることがたくさんあります。マウスピース(アライナー)矯正の場合なおさらです。しかも残念ながら、いろいろなトラブルが起きています。マウスピース(アライナー)矯正を希望される場合が、しっかりお話をきき、十分考えた上で判断されることをお勧めいたします。

歯の健康豆知識

皆さんは「咬み合わせ」という言葉でどのようなイメージをおもちになりますか。

咬合とは上下の歯の咬合面が接触することをいいます。上あごは頭蓋骨に固定され、下あごは複数の筋肉が収縮したり、弛緩することで顎関節を中心に動きます。この時口の中に食物があってもなくても下あごは上あごに近づいてゆき、上下の歯は接触状態になります。

健康な歯を持つ女性

したがって咬合には歯及び歯周組織、顎関節、筋そしてこれらの感覚及び運動 を統合している神経が関連しあっています。もしどれか一つに問題が生じると咬合にも問題が生じてしまいます。

一般的な咬合とは上下の歯が最大面積で接触している時、上の親知らず(第3大臼歯)と下の中央の前歯(中切歯)を除いた 上の歯1本に対して下の歯2本がかみ合っている状態です。たとえこの様にかみ合っていなくても日常生活に支障がなければ心配する必要はありませんが気になることがあれば歯科医師に相談してください。歯は食物を口の中で粉砕し、唾液と混じって飲み込むに適した食塊を形成する 咀嚼のために重要な器官です。

このことは健全な歯をもっている時にはあまり感じないと思いますが、なにかの原因で歯を失った時に、はじめて切実に体験されます。そして歯を失うことによる咀嚼機能の低下は消化器の負担を増加させ、ひいては栄養摂取の低下を招くことになります。さらに味覚や食事の楽しみに対する歯の役割も大きく、歯を失うことにより心理的にも不愉快な生活を続けてしまい、健康を損なうことになります。

顎関節症(がくかんせつしょう)って知っていますか?

顎関節症に病む男性

1. 顎関節症にはどのような症状があるの?

顎関節症という病名を聞いたことがある方は多いと思いますが、どのような症状があるか知っていますでしょうか? 顎関節症には、「顎(あご)が痛い」「口が開かない」「口を開け閉めすると音がする」の3つの症状があります。逆に言うと、これら3つの症状の少なくとも1つがなければ顎関節症の診断にはなりません。

2. 顎関節症はどのような病気なの?

顎関節症の3つの症状の原因には、以下の状態が考えられます。

  • 筋肉に痛みが生じている状態
  • 顎関節に痛みを生じている状態
  • 顎関節の中のクッションの役割をする関節円板がずれている状態
  • 顎関節の骨が変形している状態

つまり顎関節症と言っても、その原因にはいくつかの状態が考えられ、どの状態なのかを正確に診断する必要があります。

3. 顎関節症はどのように診断するの?

まずは、「顎が痛い」「口が開かない」「口を開け閉めすると音がする」の3つの症状のうち少なくとも1つがあった場合、顎関節症を疑います。

顎関節症が疑われた場合、症状の経過を問診で患者さんから確認し、口の開け閉めの仕方、筋肉や顎関節の状態、顎関節周囲の炎症の有無や皮膚感覚の変化の検査に加え、レントゲン検査、必要に応じてMRI検査などを行います。

そして最も重要なのは、これらの検査結果から顎関節症以外の病気の可能性を否定する必要があります。例えば、歯や歯肉の炎症、骨の異常、リウマチ、神経痛、虚血性心疾患、頭痛、腫瘍などは顎関節症と同じ症状を出す可能性があるため、検査結果からこれらの病気を否定する必要があります(鑑別診断)。  以上から顎関節症と診断ができたら、筋肉に問題があるのか顎関節に問題があるのかを診断していきます(病態診断)。

4. どうして顎関節症になるの?

顎関節症の原因には、かみ方(硬い物、長時間、片がみなど)、日中のかみしめ、歯ぎしり、頬杖などの悪い癖のほか、ストレスなどが関係していると言われています。

5. 顎関節症の治療にはどのような種類があるの?

顎関節症の治療には以下の方法があります。

  1. 生活指導
    かみ方(硬い物、長時間、片がみなど)、日中のかみしめ、頬杖などの悪い癖に気を付ける。日常生活で強いストレスを感じる状況があれば、可能な範囲でそのような状況を改善または避ける。つまり、顎関節症になる可能性がある原因を減らす方法になります。
  2. 理学療法
    筋肉の疲労や痛みに対するマッサージ、温罨法、低周波治療。こわばった筋肉や動きが悪くなった関節に対する運動療法(口を開ける練習)などがあり、現在の顎関節症の治療の主流で非常に効果がある治療法になります。
  3. マウスピース
    特に寝ている時の歯ぎしりに対して、筋肉や関節への負担を軽減することで症状を緩和する治療法になります。
  4. 薬物療法
    顎関節や筋肉の痛みに対して消炎鎮痛剤を用いることがあります。
  5. 外科的治療
    生活指導、理学療法、マウスピース、薬物療法を行っても症状が改善せず、関節円板や顎関節の骨が大きく変形している場合には、顎関節の中の洗浄や関節鏡を用いた外科的治療を行うことがありますが非常に稀です。

6. 顎関節症は治るの?

顎関節症は命に関わる病気ではなく、日常生活に支障が生じるような障害が残ることも稀です。しかし、適切な診断と治療が必要となりますので、顎関節症が疑われる症状がでた時には、かかりつけ歯科に相談し専門医を紹介してもらいましょう。

口の中にも「がん」ができることを知っていますか?

男性のイラスト

口の中にできる「がん」を「口腔(こうくう)がん」と言います。 口は食べる、話す、味わう、そして見た目と人間の尊厳や楽しみの根源にかかわるとても大切な働きと構造が集中しています。 口腔がんができるとこれらを失い、人生の質を大幅に低下させることになりかねません。 口腔がんから身を守るためにはどうすればよいのでしょう。 先ずは正しい知識を持っていただくことが重要です。

口腔がんとは

口腔がんは、全てのがんの約1~2%、年間約8000人が罹るといわれています。 60歳台から増えはじめ、高齢になるほど罹り易くなっていきます。また、女性より男性に多い(男性:女性=3: 2)という特徴もあります。 口腔がんはいろいろなところにできますが、最もできやすい場所は舌で,口腔がんの半数以上を占めています。 次に多いのは歯肉がんで他には口底部,口蓋部,頬粘膜部,口唇部にできるとされています。 この他、歯ぐきにできる歯肉(しにく)がん、 下あごの歯ぐきと舌に囲まれた部分(口腔底)にできる口腔底(こうくうてい)がん、上あごにできる硬口蓋(こうこうがい)がん、 頬粘膜(きょうねんまく)がん、口唇(こうしん)がんなど、口腔がんはさまざまな種類があります。

舌の奥の方には有郭乳頭や葉状乳頭とよばれる正常の突起物もありますが、これらをがんと勘違いする方もいるようです。 その他、上あご(口の天井の固い部分)や下の歯ぐきの内側には正常な骨の突起があり、これらもがんと勘違いされることがありますので何か不安なことがあればかかりつけ歯科で相談しましょう。

口腔がんの初期症状とは?

舌がんも含め、初期の口腔がんでは、痛みのようなはっきりとした症状はあまり見られません。 舌や口の中の粘膜の変化(色が白く変化したり、赤みが強くなる、ただれる、ザラザラしたり、しこりを感じるなど)が表れることもあるのですが、 これらは口腔がんだけに特徴的な症状ではないため、がんかどうかを見極めるのは非常に困難です。 ただの口内炎だと思って放置していたら、実はがんだった、という患者さんも決して珍しくありません。
また、歯肉がんでは、歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつきなどをきたす場合がありますが、その症状も歯周病とまぎらわしいため、診断が遅れてしまうこともあります。
見た目に明らかな変化があらわれたり、 痛みが出たり、舌の動きが悪くなったりしている場合、また顎の下のリンパ腺が腫れ、硬いしこりを触れる場合は、 がんがすでに進行している危険性もあります。
そのような明らかな症状がある場合はもちろん、たとえ症状が軽くても口の中の異常がなかなか良くならない場合、あるいはどんどん悪化する場合には、ためらわず、かかりつけ歯科や口腔外科専門医を受診することが大切です。

どんな人が罹り易いのか?予防は?

口腔がんに罹り易い条件をとしては、喫煙、飲酒とお口の中の環境が挙げられます。 喫煙はニコチンやタールなどの毒物だけでなく、熱の影響も大きいとされています。飲酒ではアルコールを分解する酵素を生まれつきどれくらい持っているかが重要です。とくに“飲むと顔が赤くなる”にも関わらず、大量飲酒をする方は危険性が高いといわれています。 口の中の環境では尖った歯、合わない入れ歯やブリッジなどがいつも粘膜を傷つけていると危険です。 ですから定期的に歯医者さんでお口の環境を整えてもらい、粘膜も診てもらうようにかかりつけ歯科医を持つことは口腔がんの予防や早期発見にとても重要です。

  1. 禁煙
  2. 節度ある飲酒
  3. バランスの良い食事
  4. 口腔内環境の改善・整備

治療方法について

標準治療という言葉をご存知でしょうか?標準治療とはいわゆる普通の治療という意味ではなく、科学的根拠に基づいた、現在利用できる最良の治療であり、患者さんに第一選択としてお勧めする治療のことをいいます。

口腔がんの標準治療は,原則手術を行うことです。 手術で切除した標本の病理組織診断(顕微鏡で細胞の状態などを調べる専門医による精密な診断)の結果によって手術後に放射線治療、さらに抗がん剤の治療が追加されることもあります。 ただ,病気の状態によりいくつかの選択肢があり,腫瘍が大きい場合には先に化学療法や放射線治療を行って手術を行う場合もあります。もちろんいろいろな条件から標準治療が選ばれない場合がありますので患者さんそれぞれにとって最良の治療方法を提示されると思います。

がんは雑草のように根を生やしていきます。目に見えない根の髭の先がホンの少し残っただけでもアッという間に再発してしまいます。 そこで手術を行う時には、実際にがんと思われるところよりも大きくとる必要があります。 舌がんの多くは舌の横にできます。病気が小さいうちは舌の横をそぎ取るように切除します。病気が大きくなって舌の半分を超えて切り取ると口の中に大きな穴ができてしまいます。その場合は頸(くび)のリンパ節もとってお腹や太ももの肉を移植します。 気になる手術後の状態ですが、舌をそぎ取る手術や移植を行う手術でも舌のピッタリ真ん中までの切除で済めばお話や飲み込みの機能はかなり良好で、見知らぬ方と電話で十分に会話ができます。また食事も歯が残っていれば今までと同じものを食べることができます。

歯肉がんの場合は顎の骨の中にがんがしみ込んでいくので、早期発見であれば顎の一部をそぎ取るように手術することができるのですが、進行すると切断しなければなりません。 下顎骨を切断した場合は肩や腰、足の骨の移植あるいは金属プレートなどで再建します。 最近ではインプラントまでいれることもできるようになってきました。 しかし元通りにすることはできません。やはり早期発見、早期治療が一番大切です。

おわりに

現在、北見歯科医師会では口腔がん検診の普及に力を入れており、会員の歯科医師は日々研鑽を積んでいます。 先にも書いたように早期発見・早期治療が望ましいですので定期的に歯科医院を受診し、口の中の管理を継続しましょう。 「口腔がんかな?」と思ったらすぐにかかりつけ歯科医院にご相談したり、口腔外科専門医のいる病院へ相談しましょう。

歯を守るための食生活

歯を守るための食

自分の歯でおいしく食べ続けるために

長寿化が進み、「人生100年時代」と言われる現代。いつまでも食事をおいしく食べ、健康に過ごすためには丈夫な歯を持っていることが大切です。丈夫な歯を保つために、食事はいろいろな食品を組み合わせて、栄養バランスのとれたものにしましょう。

ショ糖の摂取量を減らしましょう

むし歯や歯周病の原因となる細菌のかたまり「プラーク」は口内のミュータンス菌によってショ糖を材料に作られます。ショ糖は砂糖の主成分であり、野菜や果物にも含まれます。摂取量を減らすには砂糖の使用を控えるのが効果的ですが、砂糖を完全に排除することは難しいので、砂糖の「量」と「とる回数」を減らすようにしましょう。おやつには甘いお菓子のみを選ぶのではなく、果物や野菜、芋類など自然な甘みのあるものも取り入れるとよいでしょう。

よく噛んで食べて唾液をたくさん出すようにしましょう

唾液には口の中をきれいに保ち、歯を修復する働きがあります。ゆっくりと何回も噛むことで唾液はよく出ます。食物繊維の多い野菜や、肉の切り身、小魚、干し魚などの噛み応えのある食物を選びよく噛むようにしましょう。よく噛むことにより、歯の表面についた細菌や付着物が除去され、唾液の分泌量が増えて口の中の自浄作用が高まります。ただし、かたい食べ物を強く噛むことは歯をこわすことにつながるので注意しましょう。

三食規則正しく食べて間食を減らしましょう

一日中だらだらと食べていて常に口の中に食べ物が入っている状態がむし歯を作りやすくします。間食を控えてお菓子や甘い飲み物は時間を決めてとるようにし、常に口の中をきれいな状態に保つようにしましょう。そして食事の後は正しい方法で歯を磨きましょう。

丈夫な歯のために大切な栄養素

  • タンパク質:歯の土台となる部分を形成します
    肉、魚、卵、牛乳、乳製品、大豆、大豆製品
  • カルシウム:歯や骨の形成に欠かせない主成分です
    牛乳、乳製品、小魚、桜えび、ひじき、ごま
  • ビタミンA:歯茎の粘膜を強化し、エナメル質の形成を助けます
    卵、うなぎ、チーズ、緑黄色野菜
  • ビタミンC:歯の象牙質の土台の形成を助けます
    野菜類、果物類、いも類
  • ビタミンD:カルシウムの代謝や石灰化を助けます
    魚介類、きのこ類、きくらげ

北見地区栄養士会

歯周病

歯周病

歯周病とは歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)に現れる病気をいいます。

歯の根の表面にあるセメント質と歯槽骨という顎の一部分の骨の間には歯根膜という線維でつながっていて 歯が骨から抜けないように支えています。歯周病はこれらの組織が破壊され、歯が動くようになったり、骨の吸収や膿が出たり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。日本人の40歳以上の約8割がこの病気にかかっています。歯周病の代表的なものとして歯肉炎、歯周炎があります。歯周病は日々の生活習慣により病気にかかる危険性が高めるため、生活習慣病のひとつに数えられています。

歯周病の原因のひとつとして細菌の塊(プラーク)が挙げられます。プラークは1/1000gの中に1億以上の細菌がいます。プラークには食べ物の栄養分や水分が十分あり温度も37度くらいなので細菌にとってはとても良い環境です。この中で歯周病菌は毒素を作り出しています。またプラークは唾液や血液の成分を吸収して石灰化が進むこともあります。この硬くなったものを歯石と呼びます。付きやすい場所は上あごでは奥歯の頬側、下あごは前歯の舌側の歯表面、その他、歯ブラシの清掃しにくい場所が挙げられます。歯石の表面は粗で常にその上にプラークが付き、取り除きにくい状態を作り出しています。歯石は加齢とともに沈着しやすく、成人の歯周病患者においては、ほとんどの方に認められます。